オリビア・ローゼンクランツ インタビュー 3


 
―――Dansaq の演目は、ラテンアメリカの音楽が中心に、非常に多彩な楽曲が含まれています。選曲はどのように行ったのですか?

初めて聴いたときにどれくらい感動したか、どんなイメージやストーリーを連想させるか、感情・アイデア・コンセプトを表現する上で、どれくらい刺激を受け たかを基準に選曲しています。
振付を考える前に、その音楽について強く感じるところがないといけません。
Dansaq は、CLAとの共同作業ですから、当然彼らのレパートリーが中心になります。
私たちは、ラテンアメリカの曲の組み立て方、リズムの複雑さ、大変に豊富な楽曲がそれぞれ持っているドラマチックで音楽的に面白いアクセントに、大変強く惹きつけられています。


―――Tapage は、スタニスラス弦楽四重奏団ともコラボレートしていますね。

私たちは、CLAと出会う前に、「Anxiety」という公演で、スタニスラス弦楽四重奏団(France)とコラボレートしています。
この公演では、バンドネオン奏者と共に、アストル・ピアソラの曲を多く演奏しました。
これは、タップと室内楽のアンサンブルを作っていく上で大変有益なもので、Dansaq につながる重要な経験の一つです。


―――弦楽四重奏団と共に舞台を作る上で、苦労した点は何ですか?

タップダンスは、音楽とダンスが一体となった芸能です。元々は生のジャズミュージックとともに演じられたもので、ほとんどの場合即興でした。
一方、弦楽四重奏団の楽曲は、それぞれのパートが精密に、絶妙なバランスを保つよう書かれています。
優れた作品を、振付の過程で壊してしまわないためには、スコアに対する徹底的な理解・知識が、何よりも重要です。
作曲者は、2人のタップダンサーによって、リズムを付け加えられるなんて、思いもしなかったでしょうからね。

私は、「ソルフェージュに長けている」わけではありません(真理はそうですが!)。そのため、個人的に「音楽の地図」を作らなければなりませんでした。
それぞれのスコアの要素(小節、繰り返し記号、ダイナミクス、アクセント、パターン、カウンターポイント、テーマなど・・・)を抽象化してまとめたものです。
この地図が、私たちの振付の楽譜になったのです。
音楽的な構造を見開きのページで可視化することができ、その構造の分析、作曲者の意図の研究ができるようになりました。
これを使って、私たちは音楽を「見て」、スコアの中に踏み込み、同時にイマジネーションを自由にして、ダンスを作ることができたのです。
それぞれのパートが奏でる音を明確にすることは、非常に重要です。私たちは、新しい音・カウンターポイントをつくり、作曲者のビジョンに新しい次元を与え ようとしているのですから。
私たちのダンスとリズムによって、私たちはカルテットの一部になります。そして、2つのアンサンブルは1つとなり、楽曲を演奏できるのです。


―――Dansaq の独自性、Dansaq で表現したいものとは何でしょうか?

モルレー劇団のディレクター、René Peilloux がうまく説明してくれているので、彼の言葉を借りたいと思います。
「Dansaq(インカのケチュア語でダンスを意味する)」は、2人のダンサーが、長期に、そして強固に協力し、作り上げた舞台である。彼女たちは異なる技能と文化背景を持っているにもかかわらず、お互い が見事なまでに補完しあっている。
ラテンアメリカ音楽の体現者であるカルテット・ラティーノアメリカーノとのアンサンブルは、輝きに、官能に、技能に、そして創意に満ちあふれたものであ る。
この舞台上の錬金術―芸術的手段(振付、音楽、絵画的技法)の融合、文化の交絡・相互作用―は、Tapage を語る上で最も重要な特徴の一つだろう。その結果、いずれの作品も、過去に同じものを見ることはできない!



―――最後に、 Dansaq の今後の予定をお聞かせ願えますか?

2011年には、メキシコでの再演が決まっています。
私たちは、一緒に、もっと公演を行うことを、大変楽しみにしています。さらに色々な国を旅し、新しい聴衆と出会い、新しい曲を探し続けていきたいと思いま す。


―――長期にわたってのインタビュー、ありがとうございました。

    話し手: オリビア・ローゼンクランツ
    インタビュー: 菅澤央昌
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